少しそばを離れた際に転倒し、骨折をさせてしまった|看護師インシデントアンケート

看護師インシデント

年齢・性別

30代・女性

現在の居住都道府県

長崎県

看護師として働いた(働いている)年数

9年

インシデント発生時、どなたかに相談しましたか?

同僚 母

インシデント発生時の状況

看護師

私の最も忘れられず記憶に残っているインシデントは1年目の時のことです。私の病棟ではナースステーションで要観察の患者さんが食事をとったり、時間を過ごしていました。ステーションの端に大きな机を置き、そこに患者さんが集い、中には患者さん同士で会話をしたりされていました。認知症の方はもちろん、不穏な患者さんでスタッフの観察が必要な方などに来ていただきスタッフの目の届くところで過ごしてもらうようにしていました。レクレーションを兼ねて、歌を歌ったりもしました。ある日、認知症の男性患者Aさんにいつものように車椅子でステーションに来てもらい、食事をとってもらってその場で口腔ケアなどの介助を行いました。私自身もAさんのそばでカルテの記載をしたり、お話をしたり様子を気にしていましたがちょうど食事時ということもあり、スタッフが少なくナースコールが鳴りやまない状況になりました。私はAさんのそばを離れることに不安を感じ、はじめの方はステーションから離れませんでした。しかし、コールは止まらず、やむを得ずAさんへ、少しそばを離れるので動かずに待っていてほしいということを伝え、コール対応をしました。(普段自分で勝手に動かれるなどの危険行動がないため、そのような判断をしてしまいました。)コール対応をして戻っている最中に他のスタッフの声か聞こえ、急いでステーションに戻ると車椅子に乗っているはずのAさんが車椅子ごと倒れていました。結果的に左大腿骨の骨折となり、本来なら必要ないはずであった手術をすることになってしまいました。Aさんは「トイレに行こうとしたんだ」と言っていました。

インシデントの主な原因

・普段看護師の見守りの最中では危険動作などされることがなかったため、過信してそばを離れてしまった→アセスメント不足
・食前から車椅子でステーションに来られていたが、その際にトイレ誘導を行っていなかった
・ステーションに誰もいない時があるという状況を作ってしまっていた
・食事時ということでスタッフも休憩などで減るということを考慮し、残っているスタッフへ認知症の患者さんがステーションに来るため、そばを離れられないなどの情報をつたえておけば状況は変わっていたかもしれない

インシデントへの対処方法

今回のインシデント後、スタッフ全員でカンファレンスを行いました。中にはステーションに患者さんをお連れすることもあまりよくないのではないかという意見もありましたが、不穏な方、認知症の方、食事介助が必要な方などいる状況でやはりスタッフが足りないので、覚醒を促すためにも続けることにしました。対策としては、スタッフは必ず1名はステーションにいること、そのためにリーダーが休憩割などを工夫し食事時のスタッフを増員することにしました。また、勤務形態の時間もカンファレンスで話し合い、今の勤務では最も忙しい時間にスタッフがいないため、出勤の時間変更をしました。看護師だけではなく、看護助手にも協力をしてもらいました。

インシデント後の経過

今回のインシデント後、ステーションに患者さんをお連れする際はスタッフ間で情報共有を行い、誰がそばにいるのかを決めるようになりました。また、机の配置もプライバシーを守りつつスタッフが確認できるように変更し、その日受け持ちじゃないスタッフも全員で見守るように雰囲気も変わっていきました。勤務時間の変更もあり、食事前にスタッフが来てくれるようになったためフリーとして介助につけるのでナースコール対応もスムーズにできるようになりました。私の病棟には看護助手、介護士もいたので、情報共有を朝のカンファレンスで行い現状を知ってもらい、ステーションを見守ってもらえるようになり、より患者さんを守る目が増えたと思います。私もこのインシデントのあと、もう二度とこの時の「~すればよかった」という後悔をしたくないという思いから、少しずつ勇気を出して先輩スタッフへ自分の悩んでいることや現状を話すように意識できるようになりました。インシデントを無くすためには 自分自身の反省の結果、やはり危険意識の低さを実感しました。「この方なら大丈夫だろう」という自分に中で過信があったので、しっかりとアセスメントをして冷静になって考えるべきでした。自分のこととして考えれば、トイレに行きたくて行動に移すのは当たり前のことです。そのことを考えられていれば、食事前にトイレ誘導をするべきでした。また、当時1年目ということもあり、他のスタッフへ自分の状況の報告や相談などがうまくできていませんでした。自分のそのような思いが、結果的に患者さんへ本来ならばしなくてよかった手術をさせてしまい、身体に負担をかけご家族にも不安を与えてしまったのです。先輩スタッフへ相談すれば何か変わっていたかもしれないにも関わらず、「先輩にこれをいうと何か言われるかもしれない」「大丈夫だろう」などという安易な考えを持っていました。そのような考えは捨て、自分から発信することがインシデントを防ぐ最も大事なことだと思います。

インシデントで悩んでいる看護師さんたちへのアドバイス

看護師

転倒というインシデントはいつ、どこで起こるかわからず予測することが難しいと思います。転倒させてしまい、骨折まで負わせてしまったと、この時は本当に自分は看護師に向いていないと日々感じていました。そんな中でも9年間と短い間ですが続けることができたのは、やはりこの時の後悔を二度と感じたくないという自分の中の思いでした。看護師をすると、日々「あのときこうしていれば」と感じられると思います。今回、勇気を出して先輩スタッフにヘルプを出せていれば良かったです。また、「患者さんの傍を離れらません」と一言言えれば、もしかしたらスタッフの中で他のコールを回れる人がいたかもしれません。クエスチョンを誰かに発信できていれば、結果は違っていたと思います。今回のインシデントの最もの原因は、自分のアセスメント不足にあります。そして、食事前にトイレに行きたいのではないかという患者さんに寄り添った考えを持てていれば、事故は起きていなかったかもしれません。このインシデントを経て、自分自身の看護を振り返ることができました。

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