ユマニチュード|看護師が押さえたい効果・ケアについて

 

看護師は人手不足が原因のひとつで、さまざまな業務を行わなければいけません。

業務負担が大きく、離職にもつながっています。認知症患者のケアは負担が大きいのが現状です。

少ない負担で、認知症患者のケアを行う方法のひとつがユマニチュードです。

この記事では、ユマニチュードを活用する場合の看護師が押さえたい効果・ケアの方法を解説します。

 

看護師が押さえたい ユマニチュードの考え方

 

看護師

 

ユマニチュードは認知症患者との関わり方を提案していて、「人間らしさを取り戻す」という意味が込められた造語です。

1979年にフランスで2人の専門家によって開発された技法で、現在までケアを行う現場で実践と改善が繰り返されています。

患者の中には、ケアを受け入れてくれるとき・くれないときがあります。

専門家2人は「なぜ、受け入れてくれるとき・くれないときがあるのか」と考えました。そして、以下の4つが異なっていたのです。

 

• 見る方法
• 話す方法
• 触れる方法
• 立つ

 

できることを看護師が行うと、患者に拒否されることは少なくありません。
また、患者の認知機能や運動機能を低下させないためには、日常生活の中でできることは「やってもらう」ことが重要です。

ユマニチュードは「可能な限り本人の尊厳を守りながらケアしていくこと」を大切にしているため、以下の3つを大切にしています。

 

• 今ある機能を維持する機会を作る
• 今ある機能を可能な限り回復させる機会を作る
• 尊厳を守りながら見守ったり、看護したりする

 

どれだけ素晴らしい看護知識と看護技術があっても、使うシーンを間違えると患者にとってマイナスです。

ケアを必要としていても個別性を考慮し、患者に必要なケアを見極めることが重要です。

看護師と患者は「ケアをする人・ケアを受ける人」との関係ですが、その間には「自由・平等・友愛の精神」があります。

さらに、看護師には看護に対する「理念・哲学」が存在します。

ユマニチュードは、看護師が持っているケアに対する思いと、実際に行っているケアがイコールの関係であることが重要との考えを大切にしている哲学です。

 

看護師が押さえたい ユマニチュードの効果

 

看護師

 

ユマニチュードは日本の病院や介護施設で取り入れられており、さまざまな効果があります。

その内でも、看護師に対する効果は以下の2つです。

 

• 負担が減った
• 離職率が下がった
• 人手不足が改善された

 

一方、患者側の効果は以下の通りです。

 

• 穏やかになる
• 認知症の症状が軽くなることがある
• 薬が減ることがある

 

認知症であっても自分でできることは、可能な限り行うように促します。

それは、患者の機能を維持するだけでなく尊厳を守ることでもあるのです。

患者が穏やかになり看護師のケアを受け入れてくれると、看護師の負担が軽減されます。

その結果、負担が理由になる離職率が下がり、人手不足の改善につながります。

 

看護師が押さえたい ユマニチュードの4つの柱

 

看護師

 

ユマニチュードを実践する際に看護師として抑えたいポイントがあります。

ユマニチュードの4つの柱である、見る・話す・触れる・立つを解説するため参考にしてください。

 

ユマニチュード4つの柱①「見る」技術

 

1つ目は「見る」技術です。看護師は患者の全体とケアをする部分を観察し、さまざまな情報を得ます。

ケアをする部分だけを観察しても、ケアに必要な情報は得られません。

患者の情報を正しく把握するためには、目を見ることも大切です。

目を見て話す行為は以下のメッセージを発しています。

 

 

• 平等な存在である
• 親しい存在である
• 正直である

 

目を見て話した場合と目を見ずに話した場合とでは気持ちに伝わり方が変わり、患者側の看護師に対する行動や気持ちなどにも影響します。

話をするときは遠くから見るのではなく、患者の隣で視線を同じ高さにしましょう。

特にベッドサイドで看護師が立ったまま話をすると、患者側は見下された印象を受けたり圧迫感を感じたりします。

間違ったメッセージを伝えないためにも、同じ視線の高さで目を見て話すことがポイントです。

 

ユマニチュード4つの柱②「話す」技術

 

2つ目は「話す」技術です。特に忙しいとき、きつく言ったつもりがなくても、患者は「きつく言われた」と感じる場合があります。

たとえば「すぐ終わります」「動かないでください」など看護師が何気なく言う言葉です。

マイナスに受け取られてしまうと、患者との信頼関係に影響します。

話すときは話すだけではなく、言葉に「あなたを大切に思っている」と気持ちを込めましょう。

話をするときのポイントは以下の4つです。

 

 

• 言葉のチョイス
• 声量
• 声のトーン
• 話すスピード
• 表情

 

特に耳の遠い高齢者に話しかけるとき、硬い表情で早口でトーンが高く大きな声で話すと怒っている印象を与えます。

そのため、落ち着いたスピードと声のトーンで前向きな言葉で話すと、マイナスの印象を与えにくくなるため意識しましょう。

また、患者に話しかけても気分によって返事が無いことは珍しくありません。

返事が無いと看護師も黙ってしまいますが、沈黙は拒否を表現します。

患者から返事がないときは、ケアの状況をポジティブな言葉を使って説明する「オートフィードバック法」を活用しましょう。

たとえば、清拭をするとき「〇〇を拭きますね」「温かいタオルで温めますね」など、看護の基本である声掛けの一つです。

状況を説明することで、患者と会話をするきっかけになります。

また、話しかけることで患者が孤独感を感じません。

オートフィードバック法を活用するときも、声量・トーン・話すスピード・表情に注意しましょう。

 

ユマニチュード4つの柱③「触れる」技術

 

ケアを行う際、患者に触れることは必要不可欠で、ユマニチュードの3つめの柱は「触れる」です。

患者に触れる機会は清拭・移乗・歩行介助などさまざまな場面であります。

たとえば、移乗や歩行介助で患者は「掴まれている」と感じますが、看護師は掴んでいる自覚はありません。

掴まれていると感じた患者は怒りがわき、言葉・表情・行動で表現します。

患者を落ち着いた状態でケアするためには、以下の4つがポイントです。

 

• 広い面積で触れる
• 掴まない
• ゆっくりと動かす
• 敏感ではない場所に触れる

 

敏感ではない場所とは背中・肩・ふくらはぎなどで、徐々に敏感な場所(顔や手など)に触れましょう。

もし、分からないときは「〇〇を触ってもよろしいですか?」「触ってほしくない場所はありますか?」など声掛けをすることも方法のひとつです。

 

ユマニチュード4つの柱④「立つ」技術

 

4つ目は「立つ」技術です。寝たきりで無い限り、立つ行動は必要です。

普段、何気なく行っている立つことは、人間に備わっているさまざまな機能を刺激し動かしています。

また、立つことは「人間らしさ」を表現する行動のひとつです。

筋力が弱っている患者に、何時間も立ち続けることはできません。そのため、1日の目安にする時間は「合計20分」です。

散歩はもちろん、浴室やトイレは歩いていく、レクリエーション活動を取り入れるなど、目的を持つと立つ時間に苦痛を感じにくくなます。

ただし、活動する前は体調の観察をすることはもちろん、転倒しないように見守ったり、介助したりすることは大切です。

 

看護師が押さえたい ユマニチュードの5つのステップ

 

看護

 

ユマニチュード4つの柱を実践するために、すべてのケアを一連の動きで実践する5つのステップである、出会いの準備・ケアの準備・知覚の連結・感情の固定・再会の約束があります。

ここからは、段階ごとの解説をするため参考にしてください。

 

ユマニチュード5つのステップ①出会いの準備

 

ステップ1は「出会いの準備」です。

入室する際、必ず来訪したことを伝え入室の許可を得ましょう。

病室は患者が過ごす大切な場所のため、突然、ドアやカーテンを開けると患者は驚きます。

ドアならノックして入室するため、以下の手順を参考にしてください。

 

1. 3回ノック
2. 3秒待つ
3. 3回ノック
4. 3秒待つ
5. 1回ノックして「入ります」と声をかけてから入室
6. ベッドボードをノック

 

何度もノックする理由は、患者が寝ている可能性があるためです。

大部屋であれば、カーテンなら「〇〇さん、看護師ですがカーテンを開けてもよろしいですか?」など声をかけましょう。

反応がないときはゆっくり開けることが大切です。

もし、来訪前に病室以外で会うタイミングがあれば、「〇時に病室に伺います」と事前に伝えておくことも方法のひとつです。

 

ユマニチュード5つのステップ②ケアの準備

 

ステップ2は「ケアの準備」です。

物品の準備ではなく、患者が心の準備ができるようにしましょう。

認知症があると、患者が看護師のことを忘れている可能性があり警戒心を抱きます。

最初は警戒心をとくための行動が必要で、患者と視線を合わせゆっくり話しかけましょう。

そして、来訪した目的やケアの内容などを伝えて許可を得ます。

もし、拒否をされたら無理に行うのではなく、行わずに退室することも大切です。

許可を得ていない状態で無理に行うと信頼関係が崩れるだけでなく、ほかのケア時にも強く拒否されます。

そのため、ケアを行う前は許可を得ることが必須です。

 

ユマニチュード5つのステップ③知覚の連結

 

「知覚の連結」がステップ3です。

見る・話す・触れる・立つの技術をフル活用して、ケアを行う段階です。

「温かいタオルで体を拭くので上の服を脱ぎましょう」と、目と目を合わせながら優しく説明をします。

体に触れるときは「体を起こしますね」と伝えてから触りましょう。

いきなり触ったり話したりしながら触ると患者は驚き、拒否するきっかけになりかねません。

もし、拒否されたら中断し、機会を改めてください。

 

ユマニチュード5つのステップ④感情の固定

 

「感情の固定」が4つ目です。

認知症はケアの内容は忘れても、感情は忘れません。

そのため、ケアが終わった後は「お疲れさまでした。協力してくれてありがとうございました」「さっぱりして気持ちよくなりましたね」など、ポジティブな印象が残る声掛けをしましょう。

良い印象を持ってもらうと、次のケアにつなげやすくなります。

 

ユマニチュード5つのステップ⑤再会の約束

 

ステップ1からステップ4までができたら「再会の約束」です。

認知症の場合、今日の出来事を忘れる可能性はあります。

しかし、患者がケアや看護師に対して良い印象を抱いていたら「また来てほしい」と感じている可能性があります。

来室予定日をメモに残すと、忘れても視界に入り思い出すきっかけにすることも方法のひとつです。

 

ユマニチュードの看護研究

 

看護

 

ユマニチュードについての看護研究は、さまざまな方が行っています。

たとえば、看護師だけではなく、家族介護者・医師・歯科衛生士などを対象とした研究結果があります。

対象者が誰になっても、介護負担が軽減されたり行動が改善されたりとポジティブな結果が出ました。

 

まとめ ユマニチュードの考えと看護

 

看護

 

ユマニチュードは、認知症患者とのコミュニケーションを取るための技法として開発されました。

しかし、さまざまな患者に対して必要な技術が詰まっていて、ユマニチュードを活用すると看護師自身の負担軽減にもつながります。

忙しい看護師ですが、ユマニチュードの技術と考え方を意識して、看護ケアを行ってみましょう。

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